2021-01-12

まちはみんなのミュージアム’20 フェスティバル開催します。

「つくること/表現すること/伝えること」を通して、自ら問いを見つけ、共に深め学び合う「まちはみんなのミュージアム」。今回、「まちはみんなのミュージアム」連続講座の成果発表「まちはみんなのミュージアム’20 フェスティバル」をオンラインで開催します!
2020年度は参加アーティストに砂連尾理さんをお迎えし、ゲストも交えた身体表現などのワークショップでの気づきをもとに、メンバー自らが問いを立て、表現に取り組んできました。今回のフェスティバルでは、それらの表現が一堂に会し、ささやかな「ミュージアム」を立ち上げることを試みます。

【開催概要】
●日時|2021(令和3)年1月19日(火)〜24日(日)
●参加方法|オンラインでの実施
*フェスティバル期間中は、参加メンバーによるプログラムを多数実施予定です。実施時間や参加方法は、特設サイトの各プログラム詳細をご参照ください。
https://mmmfestival2020.com/

【メンバー】 
有泉汐織、海川みずき、片山夏波、佐久間尊之、杉浦さとみ、たかすかまさゆき、田中有加莉、環笑子、利恵、都田かほ、はらだまほ、柳井遥、柳井美紀、鈴木てつや

【参加アーティスト/フェスティバルディレクター】
砂連尾 理 じゃれお・おさむ/振付家、ダンサー

「まちはみんなのミュージアム」ステートメントー歩行ダンスに寄せて
 歩く、家の周辺を1時間くらいかけ、ただただ毎日歩く。コロナ禍における緊急事態宣言下のもと、私が日々行なっていたことが歩くことだった。私に限らずパフォーミングアーツ、特に濃厚接触がその技法の中心にあるダンスに携わる者は緊急事態宣言の間、その活動が感染症対策のため大きく規制された。接触するだけでなく対面で集うこともままならない状態でダンスに一体何ができるのか?コロナウィルスはそんな途方もない問いを私に投げかけてきた。
 最初は運動不足解消のため、そんな軽い気持ちで家の周りを散歩し始めたように思う。特に目的地も決めず、最後に戻ってくるのが家という以外はその日の気分で家の周辺を連日歩いた。春から初夏にかけて生い茂っていく木の葉の揺れや、草花の芽吹き、またそこに集ってくる虫たちの動きなど、日々刻々と変化する自然の様子や様々な動きがこの私の身体の中にどんどん飛び込んできてはこの身を揺り動かした。今日はどんなものがこの身に入ってきて震わせてくれるのだろう!いつしか私の歩行の目的はそれら外界との共振、交信に変わっていった。
 それらとの関わりが私の生活に組み込まれていったことで、日々の暮らしにはこんなにも豊かなダンス的な瞬間があったのだと、それをことさら言いたいとは思わない。むしろそんなことに心動かされることなく日々過ごしていたそれまでの自分の生活、その生き方から生成されていた私のダンスがそれで果たして良かったのだろうかと考えさせられた。ならば歩くことから私のダンスを、そして世界との関わりを結んでいくこの身体を今一度見つめ直してみたい、歩行を続けながらそう思った。
 ちょうどそんな時に、友人のダンサーであり散歩家である古川友紀さんから映像作品が送られてきた。その映像は夜を通して行われたあるオンライン企画に彼女が参加した際、約11時間歩いた行程を国土地理院の地図をクレヨンで辿るような映像をバックに彼女自身の語りと歩きながら録音された音などを重ね20分弱にまとめられたものだった。彼女の歩いたその記録を見て驚いたのだが、その工程は偶然にも私が10年ほど前に大阪で暮らしていた家の周辺を歩いていて、また一昨年亡くなった父が最後に過ごした病院の近くにも立ち寄っていた。実はその企画に私は東京の自宅からそして彼女は大阪の野外から共に参加していて画面上ではその時間を共有していたのだが、まさか同じ時間に彼女がそんなルートを歩いていたことにその映像を見るまで全く気づかなかった。そんな彼女の映像はある一日の歩いた記録ではあるのだが、私にとってはこの10年の時間を遡り、また亡くなった父の思い出に触れるような不思議なイメージを喚起させるものだった。
 歩くこと、また他者の歩行に想いを巡らしてみること。今回の「まちはみんなのミュージアム」で取り組んでいることはまさに昨年のコロナ禍において私の歩行の体験、そこから生まれた様々な想いをメンバーに投げかけることからスタートした。足に何かしら問題を抱えていない人にとっては当たり前のように行ってきた歩行から改めて歩く身体、時間を見つめ、そこにある創造性、フィクションに目を向けてみたい。そこから一体何が見出せるのかは、それこそダンスをするかのように歩行を味わいながら次のステップを考えても良いんじゃないだろうかと、このウィルスとの関わりがまだまだ続く今、殊更そう思う。


 
91年、寺田みさことダンスユニットを結成。近年はソロ活動を中心に、ドイツの障がい者劇団ティクバとの「Thikwa+Junkan Project」、舞鶴の高齢者との「とつとつダンス」等を制作。08年度文化庁在外研修員としてベルリンに滞在。著書に「老人ホームで生まれた<とつとつダンス>—ダンスのような、介護のようなー」(晶文社)。立教大学・映像身体学科 特任教授。
HP: https://www.jareo-osamu.com/

【主催】
東京都/小金井市/公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京/NPO 法人アートフル・アクション

小金井アートフル・アクション!(小金井市芸術文化振興計画推進事業):
本事業は、2009年4月に「誰もが芸術文化を楽しめるまち~芸術文化の振興で人とまちを豊かに」という理念を目指して始まった「小金井市芸術文化振興計画推進事業(小金井アートフル・アクション!)」として推進されています。「小金井アートフル・アクション!」は、2011年度から、東京都、小金井市、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、NPO法人アートフル・アクションの4者共催により「東京アートポイント計画」の一環として実施されています。