去年、車屋美術館の 『試論:栄光と終末、もしくはその週末 / Week End』 に。
人の心性と風景の関係について。この展示は、東京を出て美術館に向かうその道程そのものも展示だったんだなと思う。
道すがら目にする、高速道路の工事やロードサイドのフランチャイズのお店、耕地整備されたコンクリートの水路の田んぼ。
どのような意志、意図、政策や施策がこのような風景をつくるのか、そこでどのような心のありようが生まれるのか。地政学。
なんたって、amazonで古書であるけど手が出ない、大昔、一冊コピーした今や紙爆弾 『ゲニウス・ロキ』(クリスチャン・ノルベリング=シュルツ)。
ゲニウス(守護霊)・ロキ(場所の)というラテン語があらわしているように、それぞれの場所にひそむ“地霊”の力のようなもの、が存在するとしたら、ここにはどんな地霊が棲むのか?
写真美術館の今年度の恵比寿映像祭に、ずっと気になっていた清野賀子さんの写真が出展されていた。
今年のタイトルはインビジブル‥。
清野さんの写真はあらゆるものが稠密、そして晒されるように露呈されるように見えるけれど、なにかが、透過する。これは何だろう?
今この年の恵比寿映像祭に、彼女の写真が選ばれているということ。
宙づりにされ、長いい時間をかけて培われてきた地霊が変質して久しい今、いろんなところでそのことを端的に、婉曲に、無意識に描き出す表現が、いろんなところで見られるようになった気がする。これは、その変質がすっかりと私たちの身にしみてしまったということなんだろうか?