2020-02-08

心底に、すごい本だなあ、と思います。 … | 2020-02-08 14:57:08

心底に、すごい本だなあ、と思います。

『あいたくて ききたくて 旅にでる』(小野和子)

Pen友プロジェクトは、互いに海を渡った人どうし、海を渡らなかった人と渡った人、様々な人たちが入り交じりながら、言葉を交わし合い、それぞれの経験を、他者の経験を持って照らし出そうとするものなのかもしれません。

「移民」といった言葉が飛び交いますが、ことさらに、国籍や世代にこだわるものではなく、むしろ、異なる人の経験に出会うこと、そこに広がる世界に思いをはせること、を試みるものなのかもしれない。

ただ、アートプロジェクト、なるものの中にある、「私」を探す旅、をすこし(かなり?)離れて遠くから見ること、直接に出会うことや本物、その場に居合わせる、などという言葉に込められた「直接性」ではなく、誰かから聞いた言葉を別の誰かが聞き直す(深い共感を持って)、あるいは文通、といった間接性に、むしろ瞬間のリアリティがあるようにも思う、この頃。

体験することができなかった様々に、全身の力を傾けて思いはせること、そこにある親密に想像すること、が、直接的な対話や接触よりも、より他者の近くに立つことができるような気がする。また、実験。

このことを考え続けるためにに、この、『あいたくて ききたくて 旅にでる』は、とても大きな何か、を指し示してくれるように思います。