寒き露が冷えるころ、霜の降りるまで
きっと菊は花開き、草木は黄色く落ちゆくか
遠く雁が飛び、鳴く蟋蟀を見つけるか
見積もりはいつもうつつで、ずれは止まることなく常にうつろうばかりだ。それでもあの点から伸ばした影を、襞の上で計っていよう。
(池上怜子)
時間が流れたことは一度としてなく、どの場所においても蘇ったことも一度もない。
鳥の足跡に、白い波打ち際が到達したことはない。何度テープを再生しても。
余韻を引き連れて旋回する鴉も戻ってこない。
重力に逆らい、勝利したと言えるような戦果を得ないまま、脚やら羽やらを伸ばしながら次の話をするんだ。
不条理な文書だ と、何処まで行くんだと、肩が凝ってきたよと
誰かは今日も今日も、眼を求めていた。
(葉 思尭)
池上 怜子/いけがみ りょうこ
1992年 三重県出身
2017年 武蔵野美術大学大学院修士課程造形研究科美術専攻油絵コース 在学中
2016年 『トーキョーワンダーウォール2016 入選作品展』(トーキョーワンダーサイト渋谷)
2017年 『シェル美術賞展2016』(国立新美術館)
2017年 『トーキョーワンダーシード2017』 (トーキョーワンダーサイト渋谷)
葉 思尭/よう しぎょう
1993年 中国福建省出身
2017年 武蔵野美術大学大学院修士課程造形研究科美術専攻油絵コース在学中