私たちは今、ある種「完璧な環境」の中に生きています。必要なものは手に入るし、すぐに誰かとつながれる。便利で、快適で、表面的には何も不足していないように見える。でも、その完璧さの裏側で、自分自身や他者との距離を測りかねたり、どこか満たされない感覚を抱いているのも事実です。
「UNIVERSE
25」というタイトルは、理想的な環境が最終的に破綻するユートピア実験の名称から引用しました。資源に恵まれた世界で、ネズミたちはやがて互いに無関心になり、社会は崩壊していきました。その話は、どこか現代社会を連想させます。充足した環境にいるはずなのに、なぜか孤独や停滞感が漂うこの時代。私たちは、本当に「豊かさ」の中で生きているのでしょうか?
この展示では、アーティストたちがそれぞれの視点で、日常の中に潜む違和感や矛盾、そして「理想」と「現実」の曖昧な境界を描き出します。完璧に見える社会の中で、あなたは何を感じ、どんな場所に立っていますか?そんな問いを、この小さな「UNIVERSE」で共有できればと思います。