──記憶
固定化された過去の記録ではなく、今も動き、生き続けるもの。
原爆投下の数日後に広島入りした丸木位里と丸木俊は、直後の惨状を目の当たりにし、人々の記憶や伝聞から絵画を描いた。
それらの作品は 1950 年代以降、各地で巡回展示され、 時に様々な議論や反響を巻き起こしてきた。
原爆の図 第一部「幽霊」。
そこに描かれているのは、死者であり、生者でもある。
その境界を漂う姿は、時間や場所、体験の当事者性をも超えて、80年前の出来事を私たちに訴えかける。
果てしなく続く思考の層を辿れば、原爆投下の あの瞬間、蒸発するように失われてしまった「誰か」の命は、もしかすると自分自身なのかもしれない。
終わることのない問いに、 私たちはどう応答できるのでしょうか。
その試みとして、本展は今を生きる 20 代の表現者たちと共に企画した。当事者性が希薄化し、「戦争」が残したものが幽霊のように漂い続ける現代。丸木夫妻の活動の画期となった《幽霊》たちの声なき 声に感覚を向け、表現を通じた応答の可能性をこの場で静かに共有する。
廣川 慶明 (KOGANEI ART SPOT シャトー 2F)
『原爆の図と巡回 1950-2025』
会期:2025年10月10日(金)〜10月26日(日) / 会期中は無休
時間:12:00〜20:00
会場:KOGANEI ART SPOT シャトー2F ギャラリー
入場料:無料
内容:
被爆から80年後の今年、原爆の図 丸木美術館の協力のもと、丸木位里、丸木俊の最初の「原爆の図第一部 幽霊」の精巧な原寸大レプリカと1950年代から始まる巡回展ポスター、作者ゆかりの品を集め、原爆の図と巡回をモチーフに、あらためて2025年の視点から問う展示を行います。
会期中パフォーマンスやワークショップを開催予定。詳細は決まり次第お知らせします。
【10月11日(土) トークイベント開催】
岡村幸宣さん (原爆の図 丸木美術館 学芸員)
※トークイベントのみ有料 (参加費・時間・申し込み方法は決まり次第お知らせします)
主催 : NPO法人 アートフル・アクション
協力 : 原爆の図 丸木美術館
表紙版画:はだ ななこ
フライヤーデザイン:加賀 奈那
展示企画:有賀 峻 / 沖横田 夏美 / 加賀 奈那 / 木野内 言葉 / はだ ななこ / 三好 玄理