2019-12-12

えいちゃんくらぶ公開座談会「映像制作にかかわる法的な配慮について、 専門家に聞いてみよう!」の様子

11月24日の公開座談会について、サポートメンバーの石川さんがレポートを作成してくれました。

「えいちゃんくらぶ」 公開座談会 2019年11月24日(日)晴れ

えいちゃんくらぶでは、映像制作を進めていく中で、「街で歩いている人を撮ってもよいのか」「既存の音楽を使用してもよいのか」といったような、権利に関する疑問が生まれました。そこで、専門家の方に来ていただき、著作権に関する座談会を開くことになりました。

連日寒い雨の日が続いていましが、この日は久しぶりにあたたかい日になりました。
10時すぎ、えいちゃんくらぶのメンバーに加え、一般の方も集まり、公開座談会がはじまりました。

今回は、NPO法人Arts and Lawの藤森純さんにお越しいただきました。
まずはじめに、藤森さんから「映像制作に関する法的な基礎知識」についてレクチャーがありました。著作権は、 登録をしなくても簡単に発生してしまう権利で世の中にあふれているというお話には、今までもっていたイメージとは違うものであることに気づかされました。また、著作者の了解なく著作物を映像制作に利用できる例外があるというお話も伺いました。著作物が分離不可能な形で映り込んでしまったり、引用する必然性があるなどの場合には使用できることもあるそうです。その際には、映像の中で、対象物を映す理由を自分のなかでしっかりもっておくということが大切であるということがわかりました。

つぎに、映像制作をしていくなかで生まれた疑問を、実際にメンバーの方が作られた映像を見ながら、お聞きしました。今回は、音楽の使用、まちの風景の撮影、同意書の3つについてどんな議論があったのか紹介します。
1つ目は、音楽の使用について。既存の音楽を使用した場合はどうなるのでしょうか。答えはNG。音楽の使用については、曲の著作権に加え、原盤権という2つの権利が関わっているため注意が必要です。ただし、著作権の保護期間が切れていれば、自分で演奏する分にはOKだそうです。
 2つ目は、まちの風景に映り込む人について。この問題は肖像権がかかわってきますが、顔がはっきり映らなければ問題ないそうです。この際には、「特定の1人」でなく「群衆の中の1人」であるということに注意することが必要です。
 3つ目は、撮影許可を取る同意書についてです。肖像権は「撮影」と「公開」の2局面ありますが、どちらも同意書をとっておくとよいです。その際には、許可でさえも映像で撮っておけば、しっかりとした同意の証明となるそうです。また、遺言なんかも映像で撮ると、様子が分かりやすくて良いという、斬新なアイディアの話もあり、場が盛り上がりました。

えいちゃんくらぶでは、3月に作成した映像の公開を考えています。映像を公開するにあたって注意すべきことは何でしょうか。そもそも、「公開」の定義はどういうものなのでしょうか。藤森さんによると「公開」とは「不特定」または「多数」の人に見せることだそうです。たとえ、小さな展示であったとしても、この2つの条件に該当すれば、「私的複製」とはならず、著作権にひっかかってしまうそうです。また、今の時代はSNSがあり、誰もが見て拡散できる世の中になっているので注意が必要ですね。

「著作権」というと難しい、そしてどこか堅苦しいイメージがありますが、実は私たちのごく身近にあるということを知りました。また、映像制作には著作権だけでなく、原盤権や肖像家など、様々な権利がかかわってくるということがわかりました。

今回の座談会では、参加者の方々がとても積極的に質問をしていました。また、藤森さんの具体的な説明で、「とてもわかりやすかった」と声があり、充実した座談会となりました。