共同制作した連詩の冊子と各々の作品を展示する。互いに言葉という共通点を持ちながら、赤澤は詩、今枝は短歌を主に執筆してきた。
言葉を紡ぎ合わせながら、特異な場所が持つ微細な記憶に詩を溶かし込み、読者は鑑賞者になり、作品を読み進める。
制作された冊子は、まるで時間と空間を再生する小さな装置のように、手に持ち帰るものとなる。
私たちは、お互いの視点を”他者”として捉え、他者の眼差しが制作でどのように共鳴し、新たな詩の形を生み出すのかを試みる。
作家プロフィール
赤澤玉奈(あかざわたまな)
東京藝術大学美術学部絵画科卒業
東京藝術大学大学院美術研究科壁画専攻卒業
自身の体に起こった体調不良について、当事者研究的に向き合い、制作を行う。
現在はほぼ寛解しているが統合失調症の症状があり、幻聴や妄想のある体に振り回されていた。それを遡行的に詩作することにより体の主導権を本人へと回復する感覚を持ち、現在も絵画制作、詩作を行っている。
今枝祐人(いまえだゆうと)
東京藝術大学美術学部先端芸術表現科在籍
日常の体験や経験から生まれる些細な言葉から短歌や詩を創作し、それらを用いて平面作品やインスタレーション作品を制作している。言葉を相手にどのように伝えるのかという点に着目して、日常空間と私的な言葉の距離を研究している。