NPO ARTFULL ACTION

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市民講座 対話をひらく

メディアが伝える政治のニュースにふれる時、政治は私たちの暮らしを支える基本であるにもかかわらず、その物事の決め方、決まり方のぞんざいさに驚嘆しつつもあっという間になれ親しみ、また、ネット上を飛び交う情報の数々にも、量、質を問うことなどなく、伝えられた多様さの断片を、それぞれの理解によって都合よくすくいとって何かを理解したことになっているように感じます。私には私たちが複雑で高速で変化する、とても感情的な社会を生きているように思えます。

出来事のそれぞれの相互関係や因果関係も、関係の複雑さと変化の速度の速さとともに上滑りし、出来事自体が短時間で忘れ去られていきます。苛烈な出来事や心を震わせる出来事や事件、事故が日々起こっているにも関わらず、一つ一つが絵空事のように軽薄に扱われ、明快な像を結ばない社会のありようは、まるで中空に浮いた真空地帯ともいえるかもしれません。社会全体がリアリティーを薄め、また、そこに生きる私たち一人一人の存在のリアリティーも同じように薄められていき、あたかもアミューズメントあるいはゲームの世界のような空々しさの上に漂うようです。

私たちの時代の優れたアーティストは、自覚的か無自覚かに関わらず、否応無しにこの社会の特性を端的につかみ取り、さまざまな方法で描き出していきます。アートはとても感情的な行為でもありますが、優れた表現の営みの中にはそれぞれのアーティストの真摯な探求が押し流されずに存在します。私たちはこの作品群を「今」を照らすものとしてとらえ、読み解き、礎とし、あるいは私たちを反照するものとしながら、既成の価値にとらわれない生のリアリティーを獲得する対話の試みを多くの人と始めてみたいと思います。

このような対話の場を市民のみなさんとともに重ねていくことは、日本社会の中で萎縮し縮小しがちな表現の可能性を拡張することにつながります。特に自己確認や承認欲求の対象としての表現ではなく、この対話の存在が表現のありようをもっと多様に、豊かに拡張していくことにつながるとしたら、それは翻って、私たちがこれからの社会を生きていくためのさまざまな可能性も同時に拡張するものとなっていくでしょう。
企画:宮下美穂(NPO法人アートフル・アクション 事務局長)

第1回:メイをめぐるタビ
2018年10月7日(日)14:00-16:00
ゲスト:大木裕之氏

第2回:清野賀子のまなざし
2018年11月10日(土) 14:00−16:00
ゲスト:天野太郎 (横浜市民ギャラリーあざみ野 主席学芸員、札幌国際芸術祭2020 統括ディレクター/企画ディレクター(現代アート)) 

場所:小金井アートスポットシャトー2F(小金井市本町6−5−3 シャトー小金井2F)
定員:30名 参加費:無料
※事前申込不要。当日会場にお越しください。

《本事業に関するお問い合わせ》
NPO法人アートフル・アクション
TEL・FAX :050-3627-9531
E-mail: mail@artfullaction.net HP:https://artfullaction.net/
《小金井市芸術文化振興計画についてのお問い合わせ》
小金井市コミュニティ文化課推進係 TEL 042-387-9923


関係するアーティスト・研究者

  • 大木裕之

関係する場所

  • シャトー2Fギャラリー&カフェ

スタッフ

  • 荒田 詩乃

主催:東京都、小金井市、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、NPO法人アートフル・アクション


2018-10-14

14:38

7日、大木裕之さんの「メイ」の上映とトークイベントでした。

「メイ」は、大木さんが毎年5月に撮った5年間の映像の断片がつなぎあわされた、約50分の映像です。大木さんの語りや映像のピースが切り替わり、それは大木さんの眼差しを通した日常の断片であるがゆえに、空間や時間を超えて、この5年間の社会や日々の風景が抒情的に、リアルに立ちあがってくる感じがしました。

私は映像を見ながら、どうしてか自分の事をずっと思い返していました。大木さんの人生と私の人生は全く違うのに、映像の中で時々ほんの少しだけクロス、というかニアミスする瞬間をどうしても見つけてしまいます。例えば「名古屋の長者町」。私もそういえば、何年か前に長者町に行ったことがある。映像の中の宮下さんがかぶっている帽子。私がはじめてアートフルアクションに出会った時にも、宮下さんはあの帽子をかぶっていた。あの展示の風景、いつの風景だろう。見たことがあるような、ないような、聞いたことがあるような、無いような、そんなピースの断片に誘われて、私自身も気づいていなかったような私の5年間の風景をそっと立ち上げていく時間でした。それは、大木さんが、トークの中でおっしゃっていた「映像は、見た人と出会う中で「呼吸」を始める」という事なのかもしれないなと思います。

作品を完成、させる、ということは一体どんな事なんでしょうか。
大木さんの映像や語りを聞きながら、作家が生きている限り、作品の意味やその内容はその日々の中で変化していくのだと思いました。そして、それは観る人と出会いまた新しい風景を立ち上げていく。そうすると、なにかをつくるということは、もしかしたら私が思っているよりずっと豊かな対話なのかもしれないですね。

  • 荒田 詩乃
  • シャトー2Fギャラリー&カフェ
  • つぶやき
  • 大木裕之